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事例報告1
入社して1ヶ月ちょっと経った頃、Tさん(73才)が入居してきました。他の入居者よりも『よく喋る人』というのが私の第一印象でした。
数日後、西成区役所福祉事務所にTさんをはじめ他の入居者2人と生活保護の申請に行きました。Tさんは『自分は生活保護受けれるんやろか?』
『自分は長いこと野宿生活で、空き缶ばっかり集めていたから、普通の生活、畳の上での生活に戻れるんだろうか?』と西成福祉事務所に行く途中も、
着いてからの生活保護面接受付け待ち時間中も、ずっとぼやいておられました。
しまいには、他の一緒に来た入居者Hさんと話し、生活保護申請の面接を放棄して帰ろうとも言い出しました。
Tさんに話しを聞くと、『Hさんは最近まで立派な会社で働いていたが、自分は立派なことは何一つしていない。
生活保護を受け付けてくれるわけがない』と言って、すっかりあきらめてしまっていました。Tさんを『よく喋る明るい人』と思いこんでしまっていたことに気づきました。
Tさんは『よく喋る人』ではなく、社会的に弱い立場に自分が置かれている事に十分に理解し、負い目に感じ、そこから来る不安が言葉となって現れているのだろうと感じました。
そんなTさんにHさんが『大丈夫。そんなん思うんはみんな変わらない変わらない、一緒やで』。
もう一人、申請同行の入居者Mさんも『役所の人はそこまで鬼じゃないよ』と声をかけてくれてました。
Tさんも、その二人の励ましもあり、面接は受けてみようと思い直してくれました。結果、Tさんは見事、生活保護の申請を受理されました。
帰り道でTさんは『ホッとした』。『今夜はよく寝れる』。死ぬまでお世話になります』。とおっしゃってくれました。
その後、Tさんの部屋を訪ねると、名前も覚えて呼んでいただけるようにもなり、畳の上で睡眠を取れることに非常に喜んでおられました。
この時の入居者同士の励まし合い、助け合いが私の脳裏に鮮明に残っています。
そんな中、Tさんが新生活を始めるにあたっての導きができたことに喜びを感じ、この仕事に誇りを感じられた出来事でもありました。
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