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メディア 〜マスコミに紹介されました〜

2001年9月9日の(日)の朝日新聞
2001年9月9日朝日新聞記事 大阪や東京でホームレス(野宿生活者)を支援している非営利組織(NPO)のメンバーらが今夏、ニューヨークで同じような活動に取り組むNPOと交流した。 ニューヨークでは、行政とNPOが連携して住居や雇用を確保し、成果をあげている。 その経験を、日本ではどう生かせばいいのか。「交流プロジェクト」に同行した。
(報道プロジェクト室・神野 武美=現新居浜支局長)
◆社会を変える NPOの今
◆ホームレス支援 米では NY視察 参加社に自信と夢
◆ホテル改装 住居提供

「11年前とは印象が違うなあ」。 日雇い労働者の主人公「カマやん」を通じて大坂・釜ヶ崎(あいりん地区内)を描いてきた漫画家、ありむら潜(49)は久しぶりのニューヨークに目を見張った。
90年に訪れたときは、あちこちで野宿者が群れをなし、公園には青いシートをかけた小屋が並んでいた。 今回の訪問では、そうした光景をほとんど見かけなかった。
ありむらさんはボランティアや簡易宿泊所の経営者らと三年前に「釜ヶ崎のまち再生フォーラム」を発足させ、野宿者があふれる街の再生策を練ってきた。 「ニューヨークは我々が目指す先をいっている」
ニューヨーク市は93年に、ホームレス・サービス担当を「局」として独立させた。 年間予算は約5億ドルに達し、約2万5千人の住居を提供している。 その柱が、NPOに運営を任せる「支援付き住宅(サポーティブ・ハウジング)だ。 NPOの一つコモン・グラウンドは、犯罪や貧困で荒れ果てたホテル、アパートを市の助成金で買い取り、住宅に再生させている。
繁華街にある旧タイムス・スクエア・ホテルを紹介された。652世帯が入居。ロビーは高級ホテルの名残りをとどめ、ぜいたくにも映る。
専務理事のロザンヌ・ハガティさんによると、1920年代に建ったホテルを改装して使うと、貴重文化財を保護したとして税金面で優遇される。 「だから、こうしておいた方が経済的なのです」
入居者は収入の三割を家賃として支払う。精神病患者や薬物乱用者には専門のNPOが治療に当たり、職業訓練も施す。
こうした「支援付き住宅」は市中心部のあちこちにある。入居者一人にかかる年間経費は約2万4千ドル。 それに対し、公立のシェルター(臨時宿泊所)や病院は約4万ドルになるという。
ハガティさんは「安定した住宅は入居者の健康状態を改善する。企業と組んだ職業訓練で生活保護から脱する人もいる」と話した。
◆大阪 簡宿から住宅へ
釜ヶ崎で3棟の「福祉マンション」を経営する山田和英さん(44)は今回の視察で、自信をつけた。
「うちも一種の『支援付き住宅』ではないのか」。
昨年六月、山田さんは経営していた簡易宿泊所(簡宿)を野宿者らを対象にした賃貸マンションにし、「福祉マンション」と名付けた。 3畳一間に、共同の炊事場と浴場、トイレ。釜ヶ崎では現在、3業者が計約600室を営む。
大坂市内の野宿生活者は推定で約1万5千人。一方、計約1万8千人を収容できる簡宿は空き部屋が目立つ。 こうした簡宿が住宅になれば、入居した高齢の野宿者は生活保護を申請できる。
大坂市が支給する生活保護費は1人約12万円。基準家賃の上限4万2500円がマンションの収入になる。 一方で経営者は入居者の生活相談や給食サービス、栄養指導、生きがいづくりなどを支援する。
山田さんのマンションでは今年2月から、医師による週一回の訪問診療も始まった。 入居者は高血圧が一般平均の3.8倍、糖尿病は8.3倍にもなっていたという。それが、4週間で最高血圧が280から160に下がった人もいる。 医師は「再診率が89%と高いから効果があった」とみている。
山田さんのマンションは400室がいつも埋まっている。「終の棲家(ついのすみか)」と決めている入居者も多い。
「問題の解決能力がある専門家やボランティアの力を集結するNPOをつくれないか」
山田さんは、そんな思いを抱いている。
◆東京 住宅福祉めざす
参加者の一人、水田恵さん(54)は、東京・山谷で野宿者を支援するNPO法人「ふるさとの会」の理事長をしている。 昨夏、来日したハガティさんと知り合い、その縁でプロジェクトに加わった。
「我々のかぎは、介護保険制度を野宿者支援にどう生かすかだ」
今年六月、会員が1600万円を出して古い木造2階建てアパートを買い取り、改装して、「ふるさとあさひ館」を解説した。 2階に「職業訓練」(定員15人)、1階に「老後の介護」(同10人)という二つのグループホームが同居している。
入居者は、いずれも生活保護を受ける。「2階の失業者をホームヘルパーに適用して、一階の高齢者を介護する」という一石二鳥が狙い。 東京都も賛同し、今年度、730万円の予算を組んだ。
山谷地区は簡易宿泊所が約180軒。高齢化が進み、現在4500人が生活保護を受けている。 日雇い労働者が働けなくなれば、野宿するか、病院を転々とする「社会的入院」を経て死を迎えるのが普通だった。 この街には「住宅福祉」はなかったからだ。
同会は2年前、野宿者がアパートで生活できるように数カ月間の訓練をする「ふるさと千束館」を開設した。
昨年六月、介護保険サービスを山谷地区に根付かせることを目指したNPO法人「訪問看護ステーションコスモス」(山下真実子代表理事)が活動を始めた。 「あさひ館」の運営も、コスモスとの連携が前提になっている。
ここで誕生したヘルパーが高齢者宅や施設に派遣され、収入を得る --- そんな日がくるのを関係者は待ち望んでいる。
◆日米ホームレスサービス供給者交流プロジェクト
昨夏、「コモン・グラウンド」のハガティさんがホームレスの実績調査で来日。
それをきっかけに、日米のNPOが経験を交換して、支援プロジェクトを充実させ、新しい仮説住宅の開発に取り組むことになった。 ニューヨークのジャパン・ソサエティーや日本NPOセンター(東京)も協力。7月の訪米チームには、NPOの担い手はじめ、東京都職員や建築家ら13人が参加した。

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